ダウンロード側の責任の有無

違法ダウンロードに関する改正著作権法の成立

2010年1月の著作権法の改正で初めて違法ダウンロードというものが明記されました。
(法律条文には「違法ダウンロード」という言葉は使われていませんが、わかりやすいのでこう書きます)

それより以前は音楽であれ動画であれ、ネット上からどんなファイルをダウンロードしても合法でした。
これはダウンロードは私的複製に該当するためです。

私的複製
個人的な用途、または家庭内などの限られた範囲でなら著作物を自由に複製できる、著作権の制限。

著作権の制限とは著作権の及ばない範囲という意味で、著作権者が著作権を主張できない範囲のことです。
本来は著作物の複製(コピー)には著作権者の許可が必要ですが、個人的な用途であれば自由に複製することができます。
インターネットからのファイルのダウンロードはこの私的複製に該当します。

たとえ違法なファイルであってもダウンロードは私的複製だから合法ということで、違法なファイルとわかっていながらダウンロードする人は非常に多かったと思われます。
これを違法とはっきりとさせたのが2010年の改正著作権法です。

ダウンロード側にも責任を負わせることで違法アップロードの抑止を

違法アップロードに関しては元々複製権の侵害な上、1998年の著作権法の改正で設けられた公衆送信権の侵害として刑事罰があります。
違法アップロードする人間がいるから違法なファイルが拡散するので、これは当然でしょう。

しかし違法アップロードをされても誰一人としてダウンロードしなければ違法ファイルは拡散しません。
得をするのは違法アップロードを側ではなくダウンロードをする側です。
ダウンロードする人がいるから違法アップロードがなくならないという面もあります。

そこで違法ファイルであると知っているのにダウンロードする行為を違法にすることで、違法サイトなどの違法な手段によるファイル入手が減少し、違法アップロードの抑止に繋がる…という考えから違法ダウンロードが成立しました。

違法ダウンロードに該当するダウンロードは、たとえ私的目的であっても違法とみなされます。

違法ダウンロードの刑事罰化

違法アップロードされた映像または音声著作物のダウンロードが違法となりましたが、この時点では刑事罰は設けられませんでした。
そして2012年の改正著作権法の施行で、有償著作物の違法ダウンロードに刑事罰が設けられました。

前回の法改正からたった2年で違法化→刑事罰化とさらに法改正された背景は不明です。
CD売り上げ減少に危機感を持ったレコード協会の要望、TPPに絡んでのアメリカからの要求、など様々な分析はありますが、正確なところはわかりません。

違法ダウンロード刑事罰化にあたっては様々な団体から抗議声明が出されています。

とはいえ成立してしまったものは仕方ありません。
今後おそらく白紙撤回されるようなことはないでしょう。